CANADA GOOSE2回洗い

カナダグースの人気モデル「ブロンテパーカ」は、その洗練された佇まいと圧倒的な機能性から、冬の装いに欠かせない特別な一着です。このモデルでは、カナダグースが誇る独自の「アークティックテック」生地が使用されています。実際に手に取ってみると、その質感からは過酷な環境にも耐えうるタフな作りが伝わってきます。カナダグースの優れた保温性は、単にダウンの量に頼るだけでなく、随所に散りばめられた緻密なデザインによって支えられていることが感じられます。例えば、手首をしっかりと包み込む袖口のリブニットや、ファスナーの上を覆うように配置されたボタン付きの前立てなどは、冷気の侵入を物理的に遮断するための工夫と言えるでしょう。こうした細やかな工夫の一つひとつが、着る人に極上の暖かさと安心感を提供しているのです。今回お預かりしたお品物は、大地や木々といった自然の息吹を連想させるアースカラーのカーキ色です。主張しすぎない柔らかな色調は、どのようなコーディネートにも自然に溶け込み、都会的な洗練さとアウトドアの機能美を同時に感じさせてくれます。日本人の体型に合わせて設計されたすっきりとしたシルエットは、着膨れを防ぎ、おしゃれと防寒を極めて高い次元で両立させています。しかし、その卓越した保温能力ゆえに、現代の生活環境においては特有の課題も生じます。屋外の厳しい寒さに対応できる一方で、暖房の効いた室内や電車内に足を踏み入れた際、急激な温度変化によって想像以上に汗をかいてしまう場面が多々あります。その結果、襟元や袖口、あるいは裏地には、自覚がなくとも皮脂や汗の汚れが蓄積されやすい傾向にあります。これらの汚れを放置してしまうと、表面の生地を傷めるだけでなく、中の羽毛(ダウン)にまで汚れが浸透し、羽毛同士がくっついて固まったようになってしまいます。これは強みである保温性やふっくらとしたボリュームを低下させる大きな要因となります。どんなに丁寧に扱っていても、目に見えない汚れは季節を追うごとに確実に蓄積されていきます。お気に入りの一着を、新品のような美しさと機能性を保ったまま長く愛用するためには、シーズンの終わりに一度、プロによる適切なクリーニングを施すことが不可欠です。年に一度の定期的なメンテナンスは、単に汚れを落とすだけでなく、ダウンの寿命を延ばし、再び訪れる冬に最高のパフォーマンスを発揮させるための大切なケアとなります。

クリーニング事例概要

STEP1

今回お預かりしたお品物の襟元からフードの内側を確認したところ、白い汚れが付着しているのが見て取れました。襟やフード周りは、着用時に首筋や顔回りの肌が直接触れるため、ダウンジャケットの中でも特に汚れが蓄積しやすい箇所です。直接肌に触れる部分だからこそ、常に清潔な状態を保っておきたいものですが、実際には汗や皮脂、ファンデーションなどの化粧品、さらには整髪料といった多種多様な成分が混ざり合い、頑固な汚れとなって付着してしまいます。弊社では、機械洗いを行う前に、まずは職人による前処理を施しています。このダウンにおいても、油性の洗浄剤と水性の洗浄剤を使用し、汚れにアプローチしました。油性の洗浄剤を塗布した段階で、汚れがじわじわと浮き上がってくるのが確認できましたが、ここで重要なのは生地への配慮です。素材に過度な負担をかけないよう注意を払いながら、汚れを落とせるよう加減してブラッシングを行いました。こうした前処理は、襟元だけでなく、汚れが見受けられるすべての箇所に施しています。襟やフードは臭いも気になりやすい箇所ですが、弊社ではメガ消臭というオプションもございます。こちらはカビの発生を抑制する効果も期待できます。

STEP2

お写真の袖口が白っぽくなっているのがお分かりいただけるかと思います。これは蓄積した汚れも要因の一つですが、主な原因は「白化」現象によるものです。袖口は日常生活の中で無意識のうちに様々な場所に触れるため、襟などと同様に非常に汚れやすい箇所です。そのため弊社では、本洗いに進む前に必ず前処理を施し、汚れを浮き上がらせる工程を徹底しております。今回のダウンに関しても、袖口に前処理を行った上で洗浄いたしましたが、やはり白っぽい箇所は残る結果となりました。カナダグースの製品は、その生地の特性上、着用に伴う摩擦で表面の生地が削れ、下地の白が見えてしまう「白化」がどうしても避けられません。今回お預かりしたダウンも、各所にこの白化が進んでいることが確認できました。この状態は生地自体の摩耗であり「汚れ」ではないため、通常のクリーニング工程で色を戻すことは不可能です。そこで弊社では、この白化を修復するための「部分染め」というオプションをご用意しております。これは白っぽくなった箇所のみをピンポイントで染め直す方法です。クリーニングだけでは解決できない白化が気になる方は、ぜひこちらの部分染めをご検討ください。

STEP3

衣類の色によって汚れの見えやすさが異なることは、日々クリーニング業務に携わる中で常々実感していることです。定番のブラックであれば目立ちにくい箇所であっても、今回お預かりしたカーキ色のダウンでは、わずかな付着が外観の印象に影響してしまいます。検品時の状態を確認したところ、写真の右側部分にうっすらとした黒ずみが確認できました。この汚れの質感を分析した結果、油性の汚れである可能性が高いと考えられました。汚れを前処理で落としてから全体を洗浄し、乾燥工程へと進めました。乾燥後の状態を確認したところ、当初目立っていた箇所はほとんど目立たない状態まで改善されております。仕上げの際には、光の当たり方を変えながら、汚れが残っていないか確認を行いました。カーキ色はブラックに比べて汚れが浮き彫りになりやすく、乾燥後に再びシミが見つかるケースも少なくありません。その場合は再度洗いの工程へ回しますが、その際も生地への負担を最小限に抑えることを考え、繊維を傷めない最適な洗浄強度を見極めて対応しております。今回のダウンについては2回洗いの工程を経て、ほとんど汚れが目立たなくなっています。その後仕上げの工程に進みました。

STEP4

今回お預かりしたカナダグースのクリーニングでは、1回目の洗浄では汚れを落としきることができず、結果として2回洗うこととなりました。通常のクリーニングコースにおいてはこの2回の洗浄が標準的な対応範囲となりますが、その工程の中でほとんど汚れが目立たないレベルまで、きれいに落としきることができたのは非常に良かったです。お客様の中には「できる限りきれいな状態に復元したい」と、さらに高い仕上がりをご要望される方もいらっしゃいます。もしそのようなご希望がある場合は、追加の有料オプションとなりますが「特殊しみ抜き」のご利用をおすすめしております。こちらは、生地を傷めない程度という前提はありますが、可能な限り汚れを落としきるまで、しみ抜きを行うというオプションです。明るめの色のお品物の場合は、どうしても通常のクリーニングでは対応しきれないこともよくあるため、特に気になる箇所だけでも「特殊しみ抜き」を組み合わせておくと、よりご満足いただける結果になるかと思います。特殊しみ抜きが必要かどうかの判断や、そもそも素材的に可能かどうかの見極めなど、ご不明な点がございましたら、まずは無料カウンセリングにてお気軽にご相談ください。