CANADA GOOSEクリーニング

今回お預かりしたカナダグースのマローコートは、数あるダウンジャケットの中でも特に洗練された一着です。カナダグースといえば、極寒の地でも耐えうるタフで無骨なイメージが強いブランドですが、このマローコートはそれとは一線を画す、フェミニンなシルエットが魅力です。ダウンウェアに対して「着ぶくれして太って見えてしまう」という苦手意識を持つ方も多い中、このモデルは伸縮性のあるウエストベルトが腰回りを美しくシェイプしてくれるため、冬場でもスマートで都会的な装いを楽しむことができる秀逸なデザインといえます。素材感も柔らかく、手に取った瞬間にその軽やかさが伝わってくるようで、アクティブな動きにもしっかりと対応してくれる機能美が感じられます。しかし、こうした優れた機能性を持つからこそ、クリーニングによる定期的なメンテナンスが欠かせません。カナダグースは最高峰の保温性を誇りますが、その高い保温能力ゆえに、屋外から暖房の効いた屋内へ入った際などは、自覚している以上に汗をかいてしまうことがあります。この汗が羽毛の内部に溜まって湿気を帯びると、時間の経過とともに独特の嫌な臭いを発する原因となってしまいます。また、どんなに大切に着用していても、日常生活の中で皮脂汚れや空気中のホコリ、車の排気ガスといった目に見えにくい汚れは着実に蓄積されていきます。これらの汚れを放置したまま長期間保管してしまうと、生地の酸化による変色やカビの発生を招き、最悪の場合は生地の質感を損なう致命的なダメージになりかねません。そのため、愛用の一着を長く美しく保つためには、衣替えのタイミングなど、少なくとも一年に一度はプロの手によるクリーニングに出すことが強く推奨されます。お預かりしたダウンが工場に到着いたしますと、まずは「検品」という工程に入ります。これは一点一点、生地の状態や汚れの度合い、ボタンやベルトといったパーツの損傷や生地の破損がないかを隅々までくまなく確認する作業です。今回のマローコートを詳細に拝見したところ、幸いなことに目立ったシミや深刻な汚れの固着はほとんど見受けられませんでした。全体的に良好なコンディションを維持されており、日頃から丁寧に取り扱われていたことがよく伝わります。汚れがひどくない今の段階でクリーニングを行うことは、生地への負担を最小限に抑えながら清潔な状態を取り戻す上で、まさに理想的なタイミングと言えるでしょう。

クリーニング事例概要

STEP1

お預かりしたダウンの脇付近を詳細に検品したところ、生地の縫い目から羽毛が少し飛び出している状態が見受けられました。大切にされているお洋服から羽毛が出てしまうと驚かれるかもしれませんが、これはダウン製品の構造上、起こりうる自然な現象ですのでご安心ください。ただし、飛び出した羽毛を無理に引き抜いてしまうのは禁物です。次々と引き抜いてしまうと、結果として全体のボリュームダウンを早める原因となってしまいます。もし気になられる場合は、無理に抜こうとせず、出ている部分をハサミでカットするか、裏側からつまんで内部へ押し戻してあげるのが、衣類を長持ちさせるための最良の対処法です。ダウンのボリュームが失われる原因には、乾燥不足や汗、皮脂、湿気によって中の羽毛が互いに固着してしまうことなどが挙げられます。また、どんなに丁寧に扱っていても、時の経過とともに羽毛自体が劣化していくことは避けられません。しかし、汗や蓄積した汚れによるボリュームダウンについては、適切なクリーニングを施すことであるていど防ぐことが可能です。愛着のある一着のふんわりとした風合いを守るためにも、定期的なメンテナンスは重要な役割を果たします。

STEP2

続いて、首元を優しく包み込む襟周りの詳細を確認いたします。こちらの襟は非常にボリュームがあり、見るからに暖かそうで真冬の厳しい寒さの中でも安心感を与えてくれる作りになっています。しかし、細部を詳しく観察しますと、生地がうっすらと白っぽく汚れているのが見て取れます。一般的に襟元は直接肌に触れやすいため皮脂汚れが蓄積しやすい箇所ですが、今回のケースではファンデーションの付着も要因の一つであると推察されます。皮脂とは、毛穴の奥にある皮脂腺から分泌される油分のことで、本来は肌の潤いを守る大切な役割を担っています。しかし、気温が上がると分泌量が増える性質があるため、保温性に極めて優れたカナダグースを着用していると、衣類内部の温度上昇に伴って皮脂が生地に付着しやすくなる可能性があります。また、ファンデーションには顔料や油性成分が含まれており、これらが皮脂と混ざり合って、普通に洗うだけでは落ちにくい汚れになります。こうした汚れに対しては本洗浄の前に「前処理」という工程を挟みます。専用の洗剤を用いて汚れを浮かせていく作業ですが、生地に過度な負担をかけないよう、熟練の職人が力加減を調整しながら進めてまいります。

STEP3

前処理を無事に終えたダウンは、いよいよ本格的な洗浄工程へと移ります。ここでは生地への負担を最小限に抑えつつ、蓄積した汚れを確実に落とし切るため、水の温度やドラムの回転数、洗浄時間などを細かく調整しながら進めていきます。使用する洗剤については、長年の経験から導き出されたPROSHOP HIRAISHIYA独自のブレンド剤を使用しております。洗浄が完了した後は、ダウンの命ともいえるボリュームを復元させるための乾燥工程に入ります。乾燥後には、羽毛が本来のふっくらとした状態に戻っているかを厳格に確認いたします。最終的な仕上げ作業は、熟練の職人が一着ずつのコンディションに合わせて手作業で行い、それと同時に汚れの残りがないかの確認もしております。今回のマローコートに関しては、その特徴である柔らかな質感と洗練された印象を損なわないよう、細心の注意を払いながら慎重に作業を進めてまいりました。幸いにもお預かり時の汚れがそれほど深刻ではなかったため、一回の洗浄工程で生地に過度な負荷をかけることなく、清潔で美しい状態へと仕上げることができたと考えております。もし汚れがひどい場合には特殊しみ抜きという有料オプションもございます。

STEP4

今回のクリーニング工程を経て、お預かりしたカナダグースのマローコートは、通常の洗浄処理のみで蓄積していた汚れのほとんどを落とすことができました。生地への負担を最小限に抑えつつ汚れが落ちるよう丁寧に作業を進めた結果、このモデル特有のフェミニンで柔らかな質感もしっかりと維持されていると感じました。クリーニング後の保管方法についてですが、湿気がこもらないよう通気性の良いカバーなどに入れ時々空気を入れ替えるようにすることをおすすめします。ダウンにとって湿気は天敵であり、羽毛のふんわりとしたボリュームを損なうだけでなく、カビや不快な臭いが発生する直接的な原因にもなりかねません。また、収納スペースを確保するためにダウンを圧縮袋などで押しつぶして保管することも避けてください。ダウンを過度に圧縮してしまいますと、中の繊細な羽毛が折れたり潰れたりしてしまい、本来の弾力や保温性を失うボリュームダウンの大きな原因となります。今回は通常クリーニングのみのご依頼でしたが、PROSHOP HIRAISHIYAでは撥水加工やボリュームアップなどの有料オプションがございます。無料カウンセリングもございますので、ぜひ一度ご相談ください。